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霧の長尾峠

今朝の通勤路は、霧につつまれていた。
こんな珍しい天候の日は、記憶が呼び起こされ易い。ふと、学生時代を思い出した。

90年代初め、在籍していた大学の自動車部は、ある仕事を請け負った。
それは、スズキ・カプチーノに搭載されたクラッチ(ミッションだったかな?)の耐久試験。
詳細は忘れたが、チューニングショップからの依頼で、部員が交代で2,3ヶ月の間、毎晩港区の部室から箱根までの往復200kmを走るというものだった。
免許は取ったもののクルマが買えず、走りたい気持ちを持て余していた私は、それに名乗りを挙げた。

走行は、二人一組で行う。
私と組んだのは、部員ではないが、先輩の友人でこの種のイベントには必ず顔を見せるYさんだ。
まずはYさんの運転で、西湘バイパス国府津PAまで向かう。

PAに着くと、運転は私の番になった。
車体の小ささは扱い易そうに見えたが、初めての強化クラッチ換装車両。。。少々不安だ。
乗り込んでクラッチをつなぐ。。。つながらない(笑)。案の定、エンストだ。
隣で、Yさんはガハガハと笑っていた。
だが、二度は失敗しない。何とか発進させ、フロントガラスの正面に黒々と横たわる箱根の山へ、カプチーノを走らせた。

西湘バイパスから長尾峠までは、どのルートを運転したのか憶えてはいない。
それだけ慣れないクルマの運転に夢中だった、ということだろう。
それに、峠の手前で霧に覆われ、あまり愉快な気持ちでない状態で速度を落とし、やっと峠にたどりついたという記憶しかない。
峠に着いて、休憩した。缶コーヒーの休憩は直ぐにおわり、私の運転を見かねて交代を望んだ。
少々物足りないが、同意して再スタートをきった。

2車線ぎりぎりしかない道幅の峠の下り、闇と霧で10m先もろくに見えないのに、Yさんは私とは比較にならない速度で走る。
何を頼りに運転しているのか。
今思えば、斜面とガードレールやセンターラインを視覚情報として捉え、それに経験を合わせてると速度に反映されるのだろうが、当時の助手席の私には、何故こんな速度が出るのか不思議だった。
事故が恐くないのか。あるいは、この速度ならいつでも避けられるという自信か。。。

ジェットコースターのように恐怖と興奮をほんの少々味わっていると、あっという間に東名御殿場ICだった。
そのままYさんの運転で、帰路についた。

深夜の峠。初めて乗るクルマ。自分より優れた能力を持つ人。
それらをミキサーにかけると、わずか数時間のドライブは忘れえぬ記憶となった。

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