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「自動車絶望工場」&「フリーター漂流」読後

★「自動車絶望工場」
淡々と日記形式で話が進む。
文中に何度も挙げられるように、「モダンタイムス」の世界そのもの。
日常茶飯事とは言わないが、指を飛ばしたりする事故の話はたびたび出てくる。
他のメーカーを経験した者の話によると、やはりトヨタがいちばんキツイ、と。

著者は、トラック用ミッションの「組み付け」ラインに配属される。
ひとつのミッションを「組み立てる」のではなく、流れてくるミッションケースに各々同じ部品を「組み付ける」単純作業で、技術は身につかず、精神・肉体共に疲弊させられる、と彼は訴える。

同じ仕事でも、正社員でもある「本工」と「季節工(期間工)」,その他「班長」とか「見習い工」等階級が存在し、著者は差別感を味わっているが、「班長」でも指の無い人がいたりして、外から見れば皆同様に哀れを誘う。

著者が期間満了となったときには、こちらもホッとした。ルポルタージュなのに、ぐいぐいと引き込まれてしまっていたのだ。
潜入ルポなので、取材のみの仕事とは雲泥の差なのであろう。

本文後の「補章 トヨタ式合理化の歴史」と本多勝一氏の解説も、興味深い。
読むべし。

★「フリーター漂流」
NHKスペシャルの放映内容プラス、番組に採り上げられた3人
のその後と、他のフリーターやフリーターを生み出す環境の現状を追っている。

番組の3人は、うち2人が希望の無いような終わり方だったけれど、その後比較的将来に希望が持てるような生活を送ってるようなので、一安心。

特に、番組では自己中心的で救いようの無いように見えたYさんは、反省したり色々思うところあったようで、彼の言い分も納得できる部分があった。
それは、「自動車絶望工場」と共通する部分で、技術の必要の無い「組み付け」作業を強いられていることだ。人を人とも思わぬ生産設備&生産計画にも同様に。
思わず自分の仕事場(某メーカー精密機械設計)を省みる。

★まとめ
「モダンタイムス」・・・1936年
「自動車絶望工場」・・・1973年
「フリーター漂流」・・・2006年
70年を経ても、国家が経済的に潤っても、ある種の奴隷制度が生き続けていることが、哀しい。
私の職場も、比較的自由があるとは言え、仕事の納期によっては残業100時間を超える現状は、ある人が見れば「社蓄」とか「奴隷」とか言うだろう。

反面、そんな環境においても喜びや楽しみを見出し、生き続ける人間には希望を感じさせる。

上記2冊と「クルマはかくして作られる」をセットにして、読み比べると製造業の明暗が浮き彫りになって、興味深い。

自分のクルマ・バイクに接するとき、いや、他の工業製品でも作られた背景を想像し、それを広げることは人として損にはならないと思う。

2冊とも、優れた書評・感想がネット上にころがっているので、ぐぐってみるが吉。

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